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2014.02.23

桜玉吉『漫喫漫玉日記 深夜便』を読んで

一昨年から昨年にかけて、桜玉吉の読切が『コミックビーム』に掲載されているのは知ってはいたけれど、1冊買っただけであとは買いそびれてしまっていた。まあすぐに単行本になるだろうと思ったら、やっぱりすぐに刊行された。

漫画喫茶にこもって漫画を描く生活のなかで巻き起こる出来事が、エッセイ風に絵とモノローグでつづられる。桜玉吉が日常で遭遇する出来事、人物はちょっとおかしい。ネタの宝庫だと思う。深夜の某親子丼屋で繰り広げられる、貞子風女性をはじめとする客とのトイレ攻防戦、というか一人相撲が真骨頂という感じでおかしかった。

絵のタッチも、初期のコミカルなものから近年の筆で描いたようなものまで内容によって使い分けられる。全体的に抑制の行き届いた、もはや枯れた感もある淡々としたものだった。過去の作品にあった、時折読み進めるのもつらくなるような、焦燥や叫びのようなものは感じられなかった(生活は変わらず困窮しているようだけれど)。

しかし、読んでいくうちに、なにか不思議な感覚を覚えた。共感や懐かしさということとも違う気がする。コマごとに運ばれる言葉や文章、間合いが、自分にとってしっくりくるように感じられた。そこで思うのは、僕が文章をつづるときに思い浮かべるイメージは、もしかすると桜玉吉の漫画だったのかもしれないということだった。僕は絵は描けないけれど、何か表現をすることについての、原点を見たような気がした。

ああ、そうだった、この感じだった。
と、一人合点がいったのだった。

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