2020.08.31

また記事を書くために。

また記事を書くために。

P1070191

2017.12.18

『ツインピークス:ファイナル・ドシエ』ナナメ読み(7):Ben Horne's chief regret remains the sale of the family's section of the Ghostwood Forest.

ちょっとあいだが開いてしまいました。ファイルは「ベンとオードリー・ホーン」の続き。オードリーの父ベンジャミンについて触れられます。
『ファイナル・ドシエ(ドキュメント)』の日本語版が出るのが12月22日。それまでに1、2回は更新できるかなー。


ベン・ホーンは時間の大部分をグレート・ノーザン・ホテルで過ごしている。プライベートスイートもあるけれど、たいていはオフィスで眠っている。いまだにベンはさまざまなビジネスに積極的だが、ゴーストウッドの森の私有地を売却してからは、より倫理的な投資と買収をおこなうようになった。

そのゴーストウッドの森では、根深いトラブルを抱えたままだ。売却した土地に何が建てられたかというと、なんと刑務所。2001年にオープンした。しかもこの刑務所は中西部の保守的な投資家による合弁企業で、ペーパーカンパニーらしい。いってみれば所有者不明のもの(んー我ながらひどい訳だ)。

ゴーストウッド・コレクショナル・ファシリティ(矯正施設)は、この森のなかで最も醜いものであると広く考えられている。ベン自身も、「この土地を荒廃させるもの(blight。一瞬brightと間違えた)だ」とか公の場で何度も発言しているらしい。

刑務所は、パッカード製材所の閉鎖により職を失った多くの労働者に雇用の機会を生み出したものの、その待遇はひどいものだった。労働組合の結成の認定も拒否、高圧的な姿勢で黙らせた。

それだけでなく、この刑務所の出現と同時に、地元コミュニティにて医療問題が急増した。アル中、うつ病、麻薬の依存・濫用、密輸にDV、そして自殺と、負のオンパレード。これらの問題に接している大部分は、刑務所の労働者とその家族なのだという。

タミーはこの刑務所について興味深い点を指摘している。初代所長の名前は、ドワイト・マーフィーなのだ。「The Return」ではバックホーンの刑務所の所長として登場した人物だ。彼はクーパーに脅迫され、最終的に殺されてしまったけど、もしかするとツインピークスの刑務所関連での脅迫なのかもしれない。


ベン・ホーンは、タミーのインタビューに意外にも応じてくれた。その様子は、すっかり老け込んで痛ましく、多くの失敗への後悔でいっぱいだった。ベンは、自分の家族が受けたダメージに対してすべての責任を負いたいと考えている(ちょっと遅い気がするけど)。そして、ベン最大の後悔は、ゴーストウッドの森の一族の土地を売り払ってしまったことだ。

タミーは、ゴーストウッドの刑務所は、ブルーパインマウンテンの原生林を汚すものだけでなく、従業員の待遇や受刑者の虐待など、全国の私立刑務所としてもかなり低い水準にあることを指摘する。さらに親会社と警察との共謀の噂もささやかれている(ツインピークスの保安官事務所ではない)。「刑務所の顧客人口」とよばれるものを増やすために逮捕率を上げ、比較的軽微な犯罪についての有罪判決を強化しているのではないか、という噂もあり、タミーも調査している。


マーフィーが脅迫されていた理由は劇中では明かされなかったけど、警察と刑務所との癒着かな?
ベンの後悔の日々は、いささか遅すぎたのではないだろうか。ベンが原因でヘイワード家が離散し、娘オードリーの挫折にも大きく影響を与えました。

ツインピークスの森に矯正施設(刑務所)ができたということを知ると、「The Return」でオードリーが夫(?)チャーリーに言ったセリフ「助けてチャーリー、ここはまるでゴーストウッドよ」は、また別の意味をもってきそうです。刑務所が決して悪いとは言わないけど、森が病んで人びとも病んでしまったような印象です。


次のファイルはベンの弟「ジェリー・ホーン」なのですが、興味がわかないのですっ飛ばして、「ダブルアール」のファイルに進みます。ノーマやアニー周辺のややこしい関係について書かれています。

2017.12.03

『ツインピークス:ファイナル・ドシエ』ナナメ読み(6):"She seemed to vanish from public life."

ファイルは「ベンとオードリー・ホーン」。オードリーは「The Return」では数話ほど登場したものの状況はまったく謎だったので、気になるところ。


ヘイワード家の崩壊は(「ホーン家とヘイワード家」のファイル参照)、ホーン家にも影響を与えた。もともと別居状態にあったベン・ホーンと妻シルヴィアは、その2年後に離婚した(1991年か)。二人ともツインピークスにはとどまった。ベンはそのまま家族の家に。シルヴィアは重度の自閉症である息子ジョニーとともに、ゲート付きのマクマンション(質より規模重視の豪邸とのこと)に移り住んだ。

ベンとシルヴィアの娘オードリーが昏睡から目覚めたのは、銀行の爆発事件から3週間半経ったあとだった。彼女はどうやら銀行での一件を覚えていないらしい。オードリーは元の生活に戻ったかのようだったが、2つの出来事により、その軌道は変わってしまった。

それは、ベンがホーン家が所有していたゴーストウッドの森350エーカーの土地(東京ドーム約30個分なんだそうな)を売却したこと。オードリーはこれに反対して銀行に抗議活動に行ったところ、爆発に巻き込まれたというのに……。この土地では、ただちに秘密主義の投資資本グループによる民間所有の州立刑務所の建設がはじめられた。オードリーがそのことを知ったのは退院して2ヵ月後。そしてそのとき、妊娠が発覚した。

オードリーは父母からの経済的援助をきっぱりと断り、家を出た。小さなアパートで、シングルマザーになろうとした。息子リチャードが産まれたのは、ちょうど19歳になったとき(1989か90年)。結局、高校に戻ることはなく、総合教育開発テスト(GED)を独学で2年かけて修了した。それからコミュニティカレッジで経済とビジネス経営を学んだ。

学位を得たあと、彼女はツインピークスに美容室を開いた。かなりうまくやっていたようだ。リチャードの父親については、オードリーは決して語らなかった。もしかしたら、彼女は父親が誰なのか知っていたのかもしれない。タミーは、彼女の美容室のオフィスの壁に、デイル・クーパーの写真がかけられているのを目撃している。

オードリーは、父ベンがリチャードと会うのを決して許さなかったらしい。母シルヴィアとは交流をもっていたようだ。その状況が変わったのは、リチャード10歳の誕生日のとき(2000年)。オードリーは長年のつきあいのある会計士と結婚した。立会人(目撃者? Witness)によれば、愛情というよりも財政上の便宜によるものだったらしい。タミーの調査によると、公共の場での口論や、深酒や言葉によるいじめ、不貞などの記録があるらしい(それらすべて妻側によるものとのこと)。二人は少しのあいだ、結婚カウンセラーにみてもらっていた。そして、オードリーはメンタルヘルスの専門家にもみてもらっていたようだ。しかし、それらの記録は隠され、タミーはアクセスできなかった。

そして4年前(ということは2012か3年)、何の前触れもなく、オードリーは美容室を閉めてしまった。彼女は公的な生活から消えてしまったようだ。引きこもったのか、プライペートケア施設にいるという噂もあるが、ホーン家のスポークスマンは彼女の行方についての回答を拒否した。


爆発事件以降のオードリーの動向がおぼろげながらわかったような、わからんような。「The Return(以下、R)」のオードリーの状況と、『ファイナル・ドシエ(以下、F)』の記述を照らし合わせてみると、

(R)オードリーはチャーリーと結婚している
(F)オードリーは会計士と結婚しているが、夫の名前については言及がない。

(R)オードリーはチャーリーと離婚してもいいと思っているが、何かしらの契約があるらしい
(F)愛情よりも経理的便宜のための結婚らしい。夫婦仲はあまりよろしくなかった記録がある

(R)オードリーは、2日前から行方不明の浮気相手ビリーの行方を気にかけている。別のシーンでもビリーを探している人や、目撃している人が登場する。
(F)不貞の記録もあるようだが、ビリーの名前は触れられていない。

(R)ネタバレとなるが、オードリーはチャーリーと自宅らしき場所からロードハウスへ移動し、夢から覚めたみたいに真っ白な部屋へ一瞬でジャンプする。
(F)4年前から公の場で姿を見せなくなる。プライベートケアを受けているという噂もある。


タミーの調査で、オードリーはリチャードを生み、結婚したところは確認できたけど、「The Return」での描写がどこまで現実のものだったのか。チャーリーも本物の夫なのでしょうか。個人的には、「The Return」のオードリーのシーンは、彼女の内的世界が現実世界と微妙にシンクロしながら描かれていると解釈しました。オードリーが健在なら、ホーン家の人間が彼女のことにまったく触れないのは違和感があるし、リチャードが野放しになっているのもおかしいと思うので。

旧シリーズでの小悪魔からとんだあばずれに……。爆発に巻き込まれて生死をさまようわ、謎の妊娠をするわで境遇が不幸すぎるので仕方ないでしょうか。しかもあずかり知らないところで息子が犯罪者になったあげく消滅するし。爆発事故以降ずっと昏睡状態のほうがまだマシだったなぁ。


「ベンとオードリー・ホーン」のファイルの続きはまた次回に。

2017.11.28

『ツインピークス:ファイナル・ドシエ』ナナメ読み(5): “Gersten was an exceptional child in many regards.”

前回に続いて、「ドナ・ヘイワード」のファイルの後半。ヘイワード三姉妹の三女、ガーステンについて。
旧シリーズでは、セーラとリーランド・パーマーを招いたヘイワード家での食事会で、妖精みたいなドレスを着てピアノを弾いていたが、「The Return」ではベッキー(ボビーとシェリーの娘)の旦那の浮気相手として登場。思えばガーステンにとって、子ども時代がいちばん幸せだったのでは。


ガーステンは多くの点で非凡な子どもだった。ピアノでは10代前半でソリストとして活動していたし、数学の才能もあった。16歳で高校を卒業し、有名大学から奨学生としてオファーがあった。さらに4言語を流暢に話した。なんなんですかこの才女。

ガーステンは16歳でスタンフォード大学に進学した。しかし、子ども時代から10代にかけて力をつぎこんできた彼女の非凡な能力は、子どものときに苦しんだトラウマを防げなかったし、大人の世界に入る準備ができていなかったことが、すぐにあきらかになった。

第2学期の中ごろ、ガーステンは重度の神経衰弱と情緒不安定と診断された。ベイエリアの精神病院での6週間の治療のあと、スタンフォードを退学し、母アイリーンのいるツインピークスに戻ってきた。すぐにケアを受け、健康状態は良くなっていった。しかし彼女には日常生活を送る能力はなかった。医者は抗うつ剤を処方したけれど、ガーステンは安らぎを得るため、より強力なストリートドラッグに頼るようになっていった。それは全国規模で流行していた合成麻薬だった。

2009年、アイリーンが亡くなると、ガーステンはますます混乱するようになり、人間関係も乱れていった。さらによろしくないのは、スティーブン・バーネットとも断続的な関係をもっていたことがあきらかになった。スティーブンは、経歴詐称(unstable career miscreant)をしたりツインピークス地区の下級のドラッグの密売をしていたりで、ガーステンのドラッグの供給源となっていた。

この関係は、どうやらスティーブンとベッキーとの結婚よりも先行し、結婚生活のあいだも重なっていたという。レベッカの両親ボビー・ブリッグスとシェリーの関係みたいだ(シェリーのファイルを参照)。親の因果が子に報い、という感じがしないでもない。ちなみにレベッカが働いているパン屋はノーマ・ジェニングスがオーナーの店だ。

最近になって、スティーブンには国際的なドラッグ密輸の共犯者の疑いで礼状が発行された。しかし彼は行方不明。それに顕著に関与しているのは、オードリー・ホーンの息子リチャードで、いまだ逃亡中。リチャードはまた、ひき逃げでも令状が出ている。もう一人は、ツインピークス保安官事務所のチャド・ブロンクスフォード保安官補佐。こちらは収賄で公判中だ。

ベッキーの両親の調停により、ベッキーの法的なトラブルは免れたが、ガーステンは町を去ったとみられている。
これは、スティーブンの浮気に激高したベッキーが、ガーステンのアパートのドアに銃を撃ち込んだことだろうか。その後スティーブンとガーステンは森のなかに……。


スティーブンとリチャードがつながっていたとは。「The Return」のヘイトを集めまくったリチャードにこき使われていそうですが。そしてリチャードのドラッグの仕入れ先は、シェリーの現恋人のレッドなのでしょうかね。ガーステンは、ヘイワード家が崩壊していなければと、残念な気持ちです。それにしても、現在のツインピークスの住人は、旧シリーズの登場人物以上に荒んでる気がしますなぁ。

お次のファイルは「ベンとオードリー・ホーン」。「The Return」でもよくわからなかった、オードリーが旧シリーズ最終話後にどうなったかがわかるはず。

«『ツインピークス:ファイナル・ドシエ』ナナメ読み(4): “Donna’s fairy-tale New York existence unraveled.”

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